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Kluster TU  Kimmo Pohjonen, Samuli Kosminen,Trey Gunn, Pat Mastelotto (from King Crimson)
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■Kimmo Pohjonen (キンモ・ポーヨーネン) 来日前インタビュー 2004
Kluster TUでの再来日が決定したKimmo Pohjonenに、2月下旬、インタビューを行いました。

Kluster TUはKluster (Kimmo Pohjonen & Samuli Kosminen <サムリ・・コスミネン>)とTU(Pat Mastelotto <パット・マステロット> & Trey Gunn <トレイ・ガン>)の融合による、スペシャルプロジェクトですね。PatとTreyに最初に出会ったのは1999年にさかのぼるそうですね。

Kimmo: そう。オースティン(米国テキサス州)で僕が彼らの前にソロでプレイしたときに、彼らが僕の1stアルバム「Kielo <キエロ>」を聞いて気に入ってくれていることを聞いた。それで、いつか一緒に演奏するアイディアを話していたんだけど、ついに実現することになったんだ。

演奏する曲はどんなレパートリーになりそうですか?即興もありますか?

Kimmo: すでに作ってある曲がメインになると思う。僕とSamuliがこのプロジェクトのために作った曲、Klusterのアルバムからもたぶん数曲、PatやTreyのアルバムからの曲…。それぞれ4つの異なるタイプのマテリアルを一緒に演奏することになると思う。リハーサルで会って一緒にプレイしてみて、曲が生まれるかもしれない。もちろん即興演奏もあるよ。

その他にもさまざまなプロジェクトが同時進行していますね。

Kimmo: 今は3月末にヘルシンキで行われる「Animator」という、新しいソロコンサートに取り組んでいる。今回は、多かれ少なかれ普通のコンサートと違うものにしたいんだ。アコーディオンミュージックの可能性と新しいサウンドを追及することはもちろん、多くのヴィジュアル的要素を加えた新しいミュージック、コンサートを越えた新しいソロパフォーマンスにしたいんだ。

「コンサートを超える」というのは、アコーディオンを普通に演奏するだけでなく、パフォーマンスに重点を置くという感じですか?

Kimmo: そう。それとビジュアルも重要だ。今回は僕もビジュアルの分野に深くかかわるんだ。ヴィジュアル的には、僕の体やアコーディオンにフィルムを投影したり、スクリーンに映像を映したりという手法で行われる。

「Animator」は、「Manipulator」の延長線上にあるものなのですか?

Kimmo: AnimatorはManiplatorの次のロジカルなステップだ。Manupulatorは6時間、音楽もダンスも、ヴィジュアルもほとんどすべて即興演奏で行われたけれど、Animatorは80分で、ほとんどがすでに作ってある曲が中心になる。もちろん即興もあるけれど、ショーの最後に向けてミュージックもヴィジュアルも注意深く計算されたものになる予定だ。

Manipulatorであなたは重いアコーディオンとダンスしたり、スピンしたりしていましたが、今回もそんな感じになるのですか?

そうだといいなぁ(笑)。

特別なコスチュームを用意するのですか?サムピアノやハーモニカもプレイする予定ですか?

Kimmo: Manipulatorではベストのようなものとスカートをはいた。今回はアコーディオンの蛇腹のようなスカートを作ろうと計画している。Animatorではアコーディオンだけをプレイする予定だ。

あなたはダンサーとしても個性的ですが、ダンスを習った経験などはあるのですか?

Kimmo: 僕は自分のことをあまり「ダンサー」とは思っていないんだ。ただフィーリングと音楽に突き動かされて、自分の音楽と一緒に動いているんだ。僕は過去にミュージシャン、作曲家、パフォーマーとして、Tero Saarinen や Reijo Kelaをはじめとした、多くのすばらしいダンサーや振付師と一緒に仕事をしてきた。それがダンスの主な経験になっている。Animatorでは、Tero Saarinenをステージ・パフォーマンスのコンサルタントに迎えて、僕の「動き」をさらに前進させたいんだ。

スーパー・ストリングカルテットのKronos Quartet <クロノスカルテット>とのプロジェクトも控えていますね。

Kimmo: Kronosとはすでに2度リハーサルを行った。前に一度サンフランシスコ、先週はヘルシンキ。僕とSamuliは、Kronosのために80分の曲を書いたんだ。9月からヘルシンキを皮切りにツアーにはいる予定だ。

Kronos Quartetとのレコーディングの予定はありますか?

Kimmo: まずツアーにでて、それからどうなるかだね。とても面白く、大きなチャレンジになると思う。新しいエレクトロニックなストリング・サウンドを見つけて、サンプリングしてライブを行うんだ。

昨年のDavid Bowie <デヴィット・ボウイ>のMeltdown Festival <メルトダウン・フェスティバル>に招待されて行ったコンサートは大成功だったそうですね。

Kimmo: 本当にすばらしい経験だったよ。2回全く違うコンサートを行ったんだ。1つはKlusterのマテリアル、2つはBowieのカバーをプレイした。すごいフェスティバルで、オーディエンスの反応もよかったし、よいフィードバックももらった。

会場でBowieと会いましたか?

Kimmo: 彼はシャイすぎてフェスティバルには参加しないって聞いたので、たぶん誰も彼に会わなかったんじゃないかな。

あなたにとって即興演奏とは何ですか?ステージで即興をしているときは、精神的にどんな状態なのですか?

Kimmo: 自分にとっての即興演奏は、コンサートでいつでも最も興味深いことなんだ。自分が自由に何でもできると強く感じることができる部分だから。たとえば、自分のコンサートで即興演奏が最高に上手くいくと、とてもパワフルな、自分は感じたことを何でも自由にできるんだっていう気持ちを得ることができる。それが僕が即興演奏をするなかで、探し、到達しようとしている場所なんだ。間違えるとかそういうことはぜんぜん関係なく、感じたことをそのまま表現することが大切なんだ。

即興がいまひとつ上手く進まないときなどはあるのですか?そういう時はどうするのですか?

Kimmo: 前回より今回の方がもっとハッピーというようなことはあるけれど、いいとか悪いとかいう風には考えない。新しい音を生みだし、オープンになってすべてを受け入れることが大切なんだ。即興演奏をするということは、出てくるものすべてを受け入れるということ。僕は即興によって常に何かを生み出しているという結果に対してハッピーだし、出来がどうとかこうとか考えすぎると即興演奏なんてできなくなってしまうよ。単純に新しいサウンドをいつでもプロデュースできる準備をしておくことが大切なんだ。来月フランスでパーカッション奏者と100%即興演奏のコンサートを行うんだ。準備しないでただステージに上がってすぐに即興演奏を始めるんだ。

あなたは以前「僕はアコーディオンに興味のない人や嫌いな人に向けて弾いている」というようなことを言っていましたよね?

Kimmo: 僕がアコーディオンでしようとしていうことは、アコーディオンの新しい可能性を発見して、次の異なるレベルに行くことだ。世の中にはアコーディオンを聞いたことのない人、嫌いな人、嫌悪さえしている人がいる。僕はアコーディオンに対してかなり疑いを持っている人に向けて弾いているんだ。僕のアコーディオンの新しいサウンドを聞いて、そういう人達が考えを変えて気に入ってくれればいいと思う。最近はアコーディオン・フェスティバルより、ミュージック・フェスティバルに数多く参加してるんだ。そして普通の音楽ファンに向けて演奏している。彼らはアコーディオン奏者を見に来るのではなく、新しい音楽を聴きにきているんだ。わかってくれるかなぁ、僕は人々が僕のことをアコーディオン奏者だと思うことをも超えようするアイデアを持っているんだ。僕は自分のことを「アコーディオン奏者」というより「ミュージシャン」と感じているんだ。

今までにあなたは、シンプルで美しくロマンティックなメロディのトラディショナル・チューンやタンゴを数多く作曲してきましたが、ここ数年、ダークで深く、よりエモーショナルな曲を作っていますよね。作曲への興味はどのように変わってきたのでしょうか。

Kimmo: ソロプロジェクトを始めてから、とにかく新しいサウンドを探してきた。即興演奏をしてそれを録音するというスタイルで作曲している。そこであるムードになってそれが気に入れば、そのフィーリングを深めていくんだ。即興演奏が間違った方向に進んでも、そこから誰も知らない、この世に存在もしていないような音楽が生まれるかもしれない。以前のように紙に譜面を書くことはほとんどしていない。
つまるところ、自分に対してからも自由になりたいんだ。自分やすべてに対してオープンでいたいんだ。ある特定の場所に凝り固まりたくない。それが僕にとっての重要な鍵なんだ。

あなたは、ツアーに出ていないときは、いつもどのような1日をすごしているのですか?アコーディオンは毎日弾いているのですか?

Kimmo: 朝起きたら、すぐリハーサルスペースに行き、即興演奏をなるべく多くプレイしてそれを録音している。「さあ、これから作曲しよう」という感じではなく、即興演奏を録音する中で曲が生まれるんだ。そして午後4時か5時ごろになると、「さあ、この辺でやめて、サウナとアイスホールに行こう」という風になる。これが僕の典型的な一日。土日はなるべく休みをとるようにしているけど、平日は毎日アコーディオンを弾いて新しいサウンドを探しているよ。

「アイスホール」って、サウナのあと氷水に飛び込んでいるのですか?

Kimmo: 冬はいつもアイススイミングをしているんだ。脳と体を健康に保てるんだよ!

おすすめの音楽、映画、本を教えてください。

Kimmo: これが一番難しい質問だね。世界中に数え切れないほど多くのすばらしい音楽があるから、1つや2つ選ぶとしたら、数百まで挙げないとすまなくなってしまうよ(笑)。いつもフィンランドのフォーク・トラッドからエレクトニック・ミュージックまで、世界中の音楽を幅広く聴いているんだ。でも、最近はエレクトロニック・ミュージックに特に注目している。Kluster TUで追求するのは、アコーディオンのアコースティックとエレクトロニックなサウンドに加え、PatやTreyの持っている全く違ったサウンドの融合。そういう新しいサウンドへの試みをしている音楽を好んで聞いている。最近はフィンランドのPan Sonicというバンドが特に気に入っているけど知ってる?本は好きでいつも読んでいるけれど、今読んでいるスペインの作家、Arturo Perez-Reverte <アルトゥーロ・ペレス・レベルテ>はすばらしい。映画は多忙で最近あまり見ていないけれど、フィンランドのフィルムシーンがとても面白くなってきているので注目している。

フィンランドでは、ファンにバットマンと呼ばれているのですか?!

Kimmo: スペインのあるジャーナリストがたとえたんだ。なぜなのかなぁ、たぶん僕がステージ上を飛び渡っているからだと思うよ。

あなたのように革新的な音楽や即興演奏を目指したい若いミュージシャンに、アドバイスをお願いします。

Kimmo: 僕がアドバイスをするポジションにいるかどうかはわからなけれど、すべてのミュージシャン、作曲家、パフォーマーにとって重要なのは、自分のなかにある新しいものを探すことだと思う。新しいボイスと創作の道筋をね。個人的には新しいサウンド、新しいメロディ、新しい音楽の創作方法を探したり、それを探しあてたとき、自分の内にすばらしい報酬をえているよ。

最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

Kimmo: 前回初めて来日したときは東京で2度コンサートを行いましたが、本当にすばらしい経験でした。今回のKluster TUプロジェクトも、日本の皆さんに気に入ってもらえるものになるといいと思います。美味しい寿司を食べるのも楽しみにしているけれど、それより何よりまた日本で演奏できるのを心待ちにしています!

(インタビュー: 五十嵐 アキエ)