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Farmers Market
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■ Farmers Market

 「君はロックが好きそうだから、きっとこれを気にいると思うよ」
 来日中だったウィンター&ウィンターを率いるステファン・ウィンターがそう言って、 差し出したのが彼らにとって通算3作目となる『ファーマーズ・マーケット』だった。なんでも、ノルウェーだけで流通していたそれを聞いたとたん魅了され、すぐにライセンスを申し出たのだという。
 アコーディンオン/ギター奏者のスティアン・カシュテンセンが中心となるノルウェーの変テコ5人組(うち、哀愁たっぷりのサックス奏者のみ、ブルガリア人)がファーマーズ・マーケットだ。実はカシュテンセンは東欧の血を引いており、そのルーツにある音楽を仲間たちと洒落のめしフリー・ジャズ流儀で演奏しだしたのがその発端だったというが、現在はブルガリアをはじめとする様々な民俗音楽、そしてブルーグラスからヘヴィ・メタル、ファンクまで様々なポップ語彙を誠意と茶目っ気たっぷりに混ぜ合わせたような音楽性を持つ。
 そんなファーマーズ・マーケットは2001年6月に来日しているが、そのパフォーマンス(場所は、お台場のTLG。一夜限りとはいえ、なかなかの盛況でした)に触れて痛感させられたのは、酔狂きわまりない彼らの混合表現がリアルで太いジャズ精神に貫かれていたこと。そこには、もろに正しい即興性と冒険精神が横たわっていた。本人いわく、自分に似たスタンスを持っているのはジョン・ゾーンや英国の異才ジャンゴ・ベイツということだが、なるほど彼らの実演を見て多くの人はジョン・ゾーンのそれを思い浮かべたのではないのか。しかも、それはゾーンのマサダもネイキッド・シティも洒脱な映画音楽傾向表現も無理なく一緒くたにしちゃう太っ腹さを持つ。他にも、ラグタイム調やシャンソン風に演奏は飛び火したり、ヴァン・ヘイレンや人気R&Bシンガーのシャニースのカヴァーをお茶目にメドレーでやってみたり。もう、まったくもって目が回りそうなくらい楽しくって、刺激的! しかも、べらぼうに腕が立つ! マジ、うわあ、でした。
 実は、冒頭の『ファーマーズ・マーケット』は同じノルウェーに住むブッゲ・ブッセルトフトのスタジオで彼のエンジニアリングのもと録られている。ブッゲはジャズランドを主宰し、進行形電化ジャズの最たる推進者として世界的に認められているが、ファーマーズ・マーケットのはちゃめちゃ表現もまたジャズの硬直した壁を打ち破る一つの確かな手段たりえているのは間違いない。
 最後にカシュテンセンの発言を紹介しておこう。
「世の中、こんなにいろんな音楽が溢れているわけだから、一つだけに決めちゃうほうが不自然。いろいろあってこそ、当たり前だと思う。その何でもアリの説明のできなさこそ、僕たちの強みじゃないかな。とにかく、過去の音楽に対するリスペクトはとても大切なこと。そして、僕たちはその先にユーモアを介した何かを新たに作っていると思う」  (佐藤英輔)